2020年の東京オリンピックに向け、外国語による119番通報に対応できる体制を作ると、総務省消防庁の発表がありました。
たくさんある外国語のうち、今回の119番通報の外国語対応で使えるのは何か国語で、言語は何の予定なのでしょうか?
対応が可能になれば、来日中の外国人の方々も、いざという時安心できそうです。
さらに、もし私たちが外国人の事故に遭遇した場合、119番通報対応の外国語を知っておけば、携帯電話を渡すだけで大丈夫ですね。
現在は、スマホや携帯電話のGPS機能も充実していますし、119番通報の外国語対応は、とてもいい取り組みだと思います。
しかし一方で、119番通報の外国語対応によって、医療に関係のない外国人特有の非常識な相談事の増加や、救急車不足になってしまうような問題が起きる可能性はあるのでしょうか?
考察してみたいと思います!
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119番通報で使える外国語の種類は?
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、外国語による119番通報について、日本全国どこでも24時間対応できる体制を築く方針を総務省消防庁が発表しました。
海外旅行は楽しみですが、もし、言葉の通じない異国の地で体調を崩したり、怪我をすることを考えると不安になりますよね!
そんな外国人観光客の不安を少しでも取り除いて、日本での旅の安心を保証する『おもてなし』の一環となるのが今回の対応です。
メダルなどを都市鉱山で制作するエコ五輪の取り組みなど、東京オリンピック・パラリンピックに向けて色々な準備が着々と進められていますね。
- 英語
- 中国語
- 韓国語
- スペイン語
- ポルトガル語
5か国語に最低限対応するそうで、消防庁は、通訳サービスを行う民間企業に協力をしてもらうとのこと。
これは、外国人が119番通報した場合、消防本部の指令員が通訳オペレーターに電話回線を繋いで3者間通話を行い、消防と外国人のやりとりを同時通訳する形になるようです。
会話は、ワンクッション増えますが、通訳を通すことで、すみやかに症状などを消防本部の指令員が把握することできるのです。
また、現場対応の場合も、消防・救急隊員が携帯電話を通訳オペレーターにつないで対応できるようにするそうですから、ここでも外国人患者の搬送などもスムーズに行うことができそうですよね。
言葉が通じていることがわかれば、非常に心強く思われますから、とても良いシステムだと思います。
ですが、このことで、不都合なことが起こる可能性も考えられそうです。
非常識な相談事が増加し救急車不足も?
119番通報が外国語対応されることによって起きそうな不都合、まずは救急車や受け入れ病院の不足が考えられるのではないでしょうか。
特に首都圏は、高齢者の増加などの影響で119番通報の件数が増えています。
東京消防庁管内では、2008年の通報件数は65万3260件で、通報地への到着時間平均は6分5秒でしたが、2014年は75万7609件で7分54秒だったとのこと。
この10年で、救急車の到着時間が2分近く遅くなっています。
国内外の観光客が増える2020年の東京五輪開催期間中は、さらに119番通報の件数が増えるであろうことは明らかですよね。
たとえば、外出先で具合が悪くなった外国人が119番通報してきたけれど、日本語が読めなくて住所がわからない場合は、GPS機能使えない場合は、通訳を介したとしても手間取ることが予想できます。
おそらく外国人はGPSの設定など出来ないので、もし貴方が横にいたらGPSの設定をしたスマホや携帯電話を貸してあげるといいですね。
スマホや携帯電話からのGPSで自動的には場所や位置情報を特定する
また、軽い症状であっても、どこに連絡して良いかわからない場合、安易に119番通報してしまうことも考えられますし、外国語が通じるというだけで医療以外の相談の電話をかけてくる非常識な観光客もいるかもしれません。
そういった外国人観光客が増えれば、119番の回線は混乱し、本当に救急車を必要とする人への対応が遅れてしまうことが危惧されます。
119番通報の現状は?
とは言え、外国語対応以前に、119番通報については、いまの時点で既に問題点が多いようです。
2016年には、全国の消防への119番通報の内、約7割が、病院の場所を尋ねる、軽いけがなどの搬送である『不用』『不急』だったと発表されました。
上に書いた2014年の東京消防庁管内の通報件数75万7609件で考えるならば、約53万件は救急通報する必要はない案件だったと言うことになりますね。
もちろん、通報件数すべてに救急車が出動してはいないと思われますが、この約53万件の通報がなければ、救急の処置を必要とする重症患者へ、もっと迅速な対応ができたかもしれません。
この『不用』『不急』の通報の中には、
- 「熱が38度あるから」
- 「紙で指を切ったから」
- 「少しでも早く診てもらいたいから」
といった理由や、通報を受け到着した救急車に入院準備をして『タクシー』代わりに悠々と乗り込んだ人など、信じられないような事が実際にあったそうです。
ここまで非常識なことは稀だと思いますが、『ちょっと熱が出たから』『ちょっと体が痛いから』という理由で119番通報をする人は多いのだとか。
また、逆に、ぎりぎりまで119番通報を我慢し症状が悪化してしまうケースもあるようです。
非常識な利用者への消防庁の取り組みは?
このような、間違った救急車の利用を無くし、適正に利用してもらうために、消防局によって様々な取り組みをしているそうです。
例えば、千葉市消防局では、パソコンを使って、症状をクリックしていくと救急車を呼ぶかどうかの判断に役立つ救急受信ガイドをホームページで公開しています。
また、多くの自治体では『救急相談センター』を設けています。(各自治体によって名称は異なります)
- 病院に行くべきか救急車呼ぶべきか迷った時
- 救急で病院に行きたいが、どこの病院が開いているのかわからない時
自分の症状にあわせて、119番通報ではなく、まずは『救急相談センター』に電話をしてみてはどうでしょうか?
もちろん、急な激しい頭痛、急な息切れ、呼吸困難が起きた時など、症状によっては、救急車が必要な場合もありますから、その時は迷わず119番通報してくださいね!
以上のことから、適切な119番通報の利用については、日本語、外国語に関係なく、今後、真剣に取り組むべき問題だと思われます。
119番通報で救急車を利用すると有料?
今回は、非常識な119番通報によって救急車不足になっている問題についてお届けしました。
利用可能な外国語の種類が増えたことは心強いですが、それに伴って対応遅れが発生し最も最優先するべき人命の救助に影響が出るのは由々しき問題ですよね。
一番の良いのは、『救急車を呼んだ場合、料金を請求される場合もある』ということを知ってもらうことではないでしょうか?
もちろん、救急車を呼ぶこと自体は無料ですからご安心くださいね!
しかし、その後、病院に搬送され、治療が行われた際に病院側から『特定療養費』を請求される場合があります。
これは各病院が独自に定めて請求している代金で、軽傷であるにも関わらず救急車で搬送されて治療を行った場合に追加で支払う必要があります。
その費用は、1000円~10000円と病院によって変わってきます。
もし、こういった費用が発生することが周知の事実となれば、むやみに救急車を呼ぶ人は減るのではないかと思われますが、どうでしょうか?
外国では119番通報で救急車が有料?
日本では、救急車が無料なのは当たり前になっていますが、実は、救急車が有料の国はたくさんあります。
アメリカなどは、都市によって違うようですが、約2万~7万円。
バンクーバー(カナダ)では、約6万円。
フランクフルト(ドイツ)では、救急救命士が同乗し応急手当を行い、症状で料金が変動するため、約2万2000〜7万3000円。
パリ(フランス)では、重症者は0円、それ以外は3万4000円。
実際、日本でも救急車の有料化を検討しているようですが、これは賛否両論があるようです。
人命に関わることもある重要な問題ですので、難しい問題ですね。
もっとも身近な方法としては、上にも書いた『救急相談センター』の存在の普及促進が考えられます。
もっと『救急相談センター』が利用されれば、119番通報の数が減ることに期待できるのではないでしょうか?
消防庁からも、実際に救急車を呼ぶべきか迷った時は各都道府県にある相談窓口に電話で相談することを勧めていますが、やはり119番の認知度には及ばない現状のようです。
2020年の東京オリンピック時には、大勢の外国人観光客の来日が見込まれています。
今回のように多言語対応の119番通報は、本当に良いシステムではありますが、119番する前段階に使えるシステムがあれば尚、良いのではないでしょうか?
『救急相談センター』の多言語向けセンターや、携帯用アプリを作り、そのパンフレットを空港やホテル、観光案内所で配布するなど、安易に119番通報しないよう働きかける必要もあるかもしれませんね。
また、2020年東京五輪に関して言えば、暑い夏の東京で一番に考えられるのが熱中症です。外国人でもなくても、真夏の日本では毎日のように熱中症患者が出ていますよね。
この熱中症対策を外国人観光客に伝えることで、体調を崩す人を減らす試みも必要だと思われます。
日本人、外国人に関係なく、安易に119番通報をすることなく、本当に必要な時に誰もが安心して救急車を呼べるようになると良いですね。
さいごに
119番通報で使える外国語の種類は?非常識な相談事が増加し救急車不足も?についてまとめてみましたが、どうでしたか?
2020年の東京オリンピックに合わせて、日本全国24時間体制で119番通報を英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語5種類の外国語で対応するという発表がされました。
とても良いシステムですが、外国人の119番通報が増加することで、非常識な相談事などが生じる不都合について考えてみました。
外国語が通じるというだけで安易な相談事の電話が増え、それによって119番の回線の混乱や救急車不足などが起こる可能性は考えられます。
しかし、外国語の対応以前に、119番は、『不要』『不急』通報が多く、中にはかなり非常識な通報も含まれているようです。
119番通報を適切に利用するためには、各自治体が用意している『救急相談センター』などを上手に使うなど、対策が必要だと感じました。
2020年の東京五輪開催に当たり、外国人向けだけではなく、国内でも119番通報の在り方を見直す良い機会ではないでしょうか。